Star Inn Tokyo日記 9

 昨日は随分たくさんのお客がいたが、今日はその大半がチェックアウトしたので昼の間は随分閑散としていた。掃除なんかはむしろその方がやりやすいのだが、それでも昨日の反動は残る。ビールの空き缶がごろごろ転がるゴミ箱を見たときには、宴のあと、という言葉が真っ先に浮かんだ。まして掃除は、後片付けだ。その部屋で昨晩何があったのか、考えることはそんな時の楽しみである。

 

 

 そんな中にあって、今日の夜もまた騒がしくなった。例のフランス人二人組が言い出しっぺとなって、スタッフも交えてボウリングへ出かけることになった。この民泊のすぐそばに、遅くまで営業している「青砥ボウル」というボウリング場があるのだ。誰も彼も久しぶりだったりさほど上手くなかったりで、スコアは惨憺たるものだったが、それでも全員がそんな風だからなかなか盛り上がる。誰かがストライクを出すと笑い混じりのブーイングが飛び、ガーターを出せば拍手が起こる。スポーツのスコアは共通だから、みんなで分かち合えるのが楽しい。合計二ゲームとさほど長々やったわけではなかったが、昨日から連泊となったベルギー人の彼も交えての楽しいゲームだった。しかし、冷やかしというのも国であまり変わらないものらしい。面白がられているのが、はっきり伝わってきた。

 

 

 更にこのあと、カラオケへ出かけようと彼らが言い出したのでそれについていくことになった。今は彼らが夜食を食べている最中なので、その合間にこれを書いている。みんなアニメがある程度分かるので、その辺の曲縛りになるだろう。しかし外国人とカラオケに行くなどもちろん人生初の体験であるから高まるものはある。いったい何を歌うのだろう。私は、知っている洋楽の一つも歌ってみようかと思う。まあ、外国人とカラオケに行ったことはなくとも、外国のカラオケで歌ったことはあるからあまり物怖じはしないが。アメリカの飲み屋で酒の勢いそのままに歌ったときはもっと緊張したし。今にして思えば、参加したツアーのメンバーに後押ししてもらったとはいえよくあんなことがやれたもんだ。私も大概、後先を考えていない。

 

 

 彼ら長期滞在組のここでの生活も、そろそろ終わりを迎える。今日のこれは、その思い出作りの一環ということだろう。連日秋葉原に出かけてフィギュアやら缶バッジやらを買い込んできていることといい、そのアクティブさには舌を巻く。今彼らの滞在している部屋には、買ってきたなんやかやが山と積まれている。あれももう少しでなくなるのかと思うと、ちょっと寂しい。

 だからこのあとのカラオケ、せいぜい喉をぶっ壊してこよう。彼らの思い出になれたら、それはきっととてもいいことだ。