早朝のトイレ掃除後に私が考えていること。

 現在午前六時半。窓の外の太陽がやたら眩しい。

 徹夜は、まあ当たり前だが、体に悪い行為だ。まして朝の五時半に部屋と風呂とついでにトイレの掃除までやったら、体内時計がめちゃくちゃになること必至。

 昼が不安だ。

 思いっきり寝そう。というかもうやや眠い。

 

 前回更新したのがいつだったか思い出せなかったので見返してみたら、アメリカ行く前に更新したっきりだった。ので、アメリカでのことでも書こうかと思ったが、ここ三ヶ月ばかり話せることも話せないことも色々あったので整理が追いつかず、何を書けばいいやら分からない。

 さしあたって時節の話から。便利だ。

 四月。きっと誰も彼も、出会いや別れや新生活に忙しくしていることだろう。とりあえず私は、周りが本格的に就活を口にし出したのでそれに辟易している。働きたくない。全然楽しくなさそう。意味が分からん。

 こんなことをほんの五年前ぐらいはもっと頻繁に口にして、そのたびに教員親その他年上の大人たちからちょくちょくこう言われていたのを覚えている。

「そんな甘えたことを言うな」

 ま、ごもっともごもっとも。実にその通り。

 昔アダムとイブが楽園でやらかしてからこっち、我々は働き続けなくちゃいけないということになっているのだ。そもそも今の社会形態は、大多数が末端の仕事に従事することで成り立つようにできている。いまさら十幾つのガキがこんなこと言ったところでどうこうなりもするまい。諦めろってことであるし、イライラするからこれ以上騒ぐなということだ。参った参った。昔長期休みに家でだらだらしていたら母親がイライラを隠そうともせずに怒鳴ってきたことがあったが、大人というのは余程働くのが苦痛なのだろう。金を稼ぐことの代価は、そこまで心身を磨り減らさねばいけないものなのか。あーやだやだ。

 そして何より嫌なこと。

 世の中金で回ってる。

 

 金を稼ぐためにバイトしていると本当に痛感するが、バイト先にやってくるお客はみな、応対している私のことをその道のプロだと信じて疑わない。聞けば何でもちゃんと分かると思っているし、こちらの機嫌を損ねることなんてするはずがないと頭から信じ込んでいる。こっちは正社員ですらないというのに、なぜ一つ一つの食材の産地などをいちいち事細かに知っていると思うのだろう? 人手不足でただでさえ大変なところにそういう疑問をぶつけられるとき、心中憤らずにはいられない。理不尽かもしれないし、人でなしかもしれないが、キレたくなるものはキレたくなる。

 この間など、サシで私に説教してきた客までいた。どうやらその人の価値観に私はひどくそぐわなかったらしい。例えばこう言われた。

「君、そのままじゃこの先、社会でやっていけないよ?」

 大きなお世話だ。

「君、学校ではなにやってたの? 文化部? ダメダメ、運動部で心を鍛えなきゃダメだよ、人間は」

 そっちの価値観など知るか。

「君、そんなやり方でずっとやってきたわけ? 友だちとかいるの? いないでしょ?」

 あんたが私の何を知ってるんだ?

 ・・・・・・・・・あんな人間が世の中にいるのか。それが率直な感想だ。

 あれほどカンに障る人間も珍しかろう。私に落ち度があったのかもしれない。しかしそれは、ここまで自分のいろんなものを蔑ろにされなければいけないほどのことだったのか。ここまで否定されなければ許されないほどのことを私はしたのか? まったく、漫画の中でしかお目にかかれなさそうなほど、神経を逆なでしてくる人間だった。以前女にひどい目に遭わされた話をしたが、私の厄はまだまだ残っていたようだ。まだ四月の終わり。あと八ヶ月、私にはどんな災難が降ってくることやら。

 本当、参った。お祓いにでも行くべきか。しかしこの場合、何を祓ってもらえばいいんだ?

 

 まあ、いきなり愚痴をぶちまけたが、なにも悪いことばっかりってわけでもない。例えばアメリカ。ツアーに参加していたのだが、メンバーみんな実にいい人たちで、アジア圏からの参加者が私だけという状況の中、私の拙い英語に根気よく付き合ってくれた。二週間の間まったく日本語が通じず、一人での海外旅行は初めてで、空港へ着くなりホテルへの行き方探しに一時間近く費やしたりしていたが、それでもどうにか過ごせた。ツアー初日にハリウッドでいきなり写真撮影の客引きに捕まって二十ドル近くもってかれたりしたし、帰る日に空港まで行くために取ったはずのシャトルの予約が取れてなかったりしたけれど、グランドキャニオン凄かったし、飲み屋のカラオケでスティービー・ワンダー歌ったりした。見知らぬおばちゃんに抱きつかれたのにはびびったけど。

 サンディエゴでは海岸沿いをレンタサイクルでぶっ飛ばし、フェニックスでは通りがかりのおばちゃんに煙草を分けてもらい、ウィリアムズではホテル内のプールでウォツカのロックをあおって悪酔いし、ラスベガスではモノホンの銃をぶっ放し、サウスレイクタホではスキーリゾートでスキーに行かずに湖を眺め、サンフランシスコの空港でどこのターミナルが行くべき場所か分からなくなった。書いてて随分色々あったなと思うし、まだ色々あった気がする。

 しかも、この三ヶ月の間にあったことはアメリカ行きだけじゃない。まだまだある。例えばラオスとタイ一週間旅行。文化、人間性、自分のためになること盛りだくさんの実に貴重な経験だった。親父ありがとう。

 

 ま、なんにせよ。

 嫌なことはある。嫌なやつもいる。

 そもそも大人という存在自体、気にくわない部分が多すぎる。そしてそうなるまいといくら努力しても、勝手に我々は大人になり、勝手に子どもに憎まれる。

 いろんな事がもう半ば分かってる。まして哀しくなることなんて、それこそいくらでもある。

 でも、今のところ、生きていくことはさほど悪くない。

 海の向こうでも、大丈夫だったし。